Triangleさんの「魔法戦士After the Final 黒銀の魔王」感想です。
2023年1月発売作品。
Triangleさんの「魔法戦士After the Final 黒銀の魔王」は。
ロアの女王ティアナを堕落させ、ダークネスティアとして手中に収めた銀髪の魔王メッツァーの勢力は、
立ち上がった魔法戦士たちを追い込む。
窮地の魔法戦士たちと共闘したのは、キール。
キールは、ティアナとメッツァーの別世界の可能性。
付き従うマリエラとノエルの二人を失い、地上の人類から迫害されたキールは、しかし。
今度は魔法戦士たちに牙を向ける。覇王の道へと向かうのだった……。
という導入でした。
それでは感想です。
ネタバレは多めにあります。
立ち上がった魔法戦士たちを追い込む。
窮地の魔法戦士たちと共闘したのは、キール。
キールは、ティアナとメッツァーの別世界の可能性。
付き従うマリエラとノエルの二人を失い、地上の人類から迫害されたキールは、しかし。
今度は魔法戦士たちに牙を向ける。覇王の道へと向かうのだった……。
という導入でした。
それでは感想です。
ネタバレは多めにあります。
この作品は、「魔法戦士FINAL IGNITION」のネタバレが前提となった展開です。
人物関係性や作品上の動きなども多く用いられており、イベントCGも。
ですので、未プレイの方はご注意を。
システムがPIX STUDIOですが、「魔法戦士 CHRISTMAS IGNITION」と同じ調整。
どうしてウィンドウサイズの変更ができなくなったのでしょうね。不思議です。
バックログジャンプを使用するとCGのマスクが外れてしまう、BGVが継続されて鳴り続けるなど、調整が未着手なところもあります。さて。
「魔法戦士 After the Final 黒銀の魔王」は、「魔法戦士FINAL IGNITION」の派生ともいえる作品。
ですので、
「魔法戦士 CHRISTMAS IGNITION」のような気軽に読み進められる展開ではありません。
キールが無双していき、ハーレムを形成する内容。
魔法戦士たちを各個撃破し、本当の意味で手に入れていく。
その手際がとても良く、全体的に楽しめました。
今作は、キールを主役たらしめるアペンド作品。
このコンセプトが達成されている素晴らしいシナリオがあります。
まず。
戦闘描写がなかなか良いと思います。
冒頭、エリクシルライムを圧倒するのですが。
キールは防御魔法を展開させ、エリクシルライムのビリオンスラッシュを凌ぎ、威力が落ちたところでボディブローを放つ。やり方は格好いいですよね。
しかし、これを行うには、余程の近接戦闘経験が必要。
キールが他のキャラクタたちを上回る活躍を見せるのは、少し違う気がします。
強化の理由はありますが、他勢力がこれまで成し得なかったのは何故かと考えてしまいます。
何より、相手の攻撃スタイルに対する理解、心理に対する理解、間の読み合い、思い切りなどの経験が必要です。
とはいえ、この勝ち方がキールにとって取るべき手段なのは良く分かります。
正面から勝った、力押し負けをしたとライムに敗北を教え込むわけです。
そして。
多くの手段を用いて、ハーレムを形成すること。
キールの心理についての理解が、作中に幾度も提示されること。
キールの心理については、ふとしたキール自身の動き。
そして、他のキャラクタたちが、対峙したことでキールを引き出してくれています。
例えば。エリクシルローズが持つ、人を救うという純粋な考えを諫めることのできない諦観。
例えばエスフィナ。
キールの男性性に縋り付きたくなる強さで迫る。
本来、別の可能性ともいえるキールと女王ティアナの関係性を、
分かった上で切り捨てる。
そして、エリクシルライムには、過去を捨てさせるために。
さらにスイートリップ。
キールに、同情する部分を見つけています。
この理解の深さ、ノエルを見ているようです。
魔法戦士の全てを手に入れるために、多くのことをしていきます。
肉体的、精神的に。
時にソフトな部分を見せ、ハードな責めを続ける。
人心掌握が上手いといえます。
求められている。母性を与えてあげられる。
歩み寄る隙がある。ある種の誤解するようになった魔法戦士たちは、そして。
今作は、キールの物語として素晴らしい作品になっていると思います。
とはいえ。
詰めが甘い箇所はそのままであり、先述のシステムの件もそうですが、物語に対しもったいないと思います。
時間がない、労力を掛けられないのもわかるのですが。
演技に対するディレクションがないのは過去作からよく伝わっていますが、
名前の呼び方や、気合いを入れて発声するべきものが為されてないなど、戦闘描写がもったない場面も見られます。
販売サイト掲載のサンプルCGでは、エスフィナがエスフィナに見えませんでした。
レムティアイオタかと思っていました。
音楽の切り替えタイミングの意図もわかりません。
何より、ラストの哄笑は、差分を用意するべきだったと思うのです。
いえ、できれば、イベントCGで。その落涙を。
それでも、キールというキャラクタをフォーカスし、
キールが魔法戦士たちをどう捉えていたか、本当はキール自身がどうなりたかったのかを窺わせる展開は、とても楽しめました。
どうやら、魔法戦士シリーズは今作で一区切りのようです。
今作はとても良かったと思います。キールの物語の一つの可能性として。
しかし、物足りない部分もありますから。
そうですね。今後は、魔法戦士ひとりひとりに寄り添った作品など、いかがでしょうか。