Triangleさんの「光装剣姫アークブレイバー」体験版プレイしました。

Triangleさんの新作は、“変身ヒロイン孕ませ悪堕ちADV”、「光装剣姫アークブレイバー魔族篇胞」。

ab2

キャサティリオンのアドミラリ王国は、異世界ムンコスミオスに希望を託し、陥落していく……。

清木澄は、天涯孤独の身ながら明るく過ごしている。
自分で朝食を用意し、両親の写真に挨拶して御江慈学園に通い、友達の小野上結乃華とも仲良く過ごしている。

ある日。いつものように公園のゴミ拾いをしていたところ、悲鳴が聞こえた。
コウモリのような姿をした怪物が、女性を襲おうとしていたのだ。

「最近、この辺りで変質者が出るんだって。怪物の仮装をしてるとかいう噂だよ」
何かと心配してくれる小野上結乃華が忠告してくれていた。
その時は一笑に付したものだったが、このことだったのだ。

清木澄目の前で起きた事態に束の間躊躇すると、怪物と女性の間に、空飛ぶぬいぐるみが割って入った。
「こっちの世界に来てまで好き勝手させないぞ!」
清木澄は勇気ある行動だと感じたが、怪物に片手で払いのけられていた。

気を取り直した清木澄が拾っていたゴミを投げつけ、怪物の注意を引くと、
怪物の脇を抜けて、ぬいぐるみを拾って走った。

……しかし、背後から怪物が音波を放つ。
すると、新たに上空から三体の怪物が現れた。
常識外の存在に囲まれ、狼狽してしまう清木澄。
でも、このぬいぐるみのような何かだけは守りたいと、抱きしめる腕に力を込める。

すると、ぬいぐるみが光の塊を放つ。
「光装具アレクサンドロスを君に託す。君は今からアークブレイバー……アークエリモスだ!」
清木澄の姿は、大きく変わっていたのだった……。
ab1
体験版は、839MBでした。

原画は、斎藤なつきさん、雨音颯さん、田宮秋人さん、Jambreadさん、と思われます。

システムは、PIX STUDIOです。
セーブファイルは98。QuickSaveが1。
タブレットモードもあります。

気になるところはあるものの、公式発表当初よりも興味が沸く体験版でした。

公式サイト等での“変身ヒロイン孕ませ悪堕ちADV”とのアピール、
そして、剣姫シリーズであることからも、えぐい描写がふんだんにあるのではと身構えました。

そこを、コメディ要素を用いてマイルドに仕上げています。
それでも、暗い描写に辿り着きそうな軸を有しています。


基本路線は、これまでのブランド作品と似通っています。
変身ヒロインが戦うが、負けてしまう。

そのためか、初めは、キャラクタのニュアンスに、目新しさが乏しいと感じてしまいました。

清木澄の部屋はぬいぐるみに溢れ、宿題を忘れて写させて貰う。
朝食に厚切りのベーコンというチョイスもですが、
何というか、キャラクタメイクが固定化されているように感じます。

両親を亡くしているが、他者に善意で接し明るく振る舞う。
誰かのためにと考えるのは、恐らく両親の遺言なのだろうと。

その親友として設定されている、小野上結乃華。
大人しい性格で学業成績が優秀。清木澄を慕い、できることで支える。
見慣れているように感じました。

そして、適所にコメディ。
コメディを含んだ進行は、読みやすくなりますが、
この作品は、“変身ヒロイン孕ませ悪堕ちADV”なのですよね。
要素がバッティングしていないかなと。

清木澄の描き方、異世界キャサティリオンから訪れた光装具の管理者クーネリーの描き方からすると、
“孕ませ悪堕ちADV”といったハードなジャンルには向いていないと。
明るく楽しい雰囲気でまとめ上げたほうが良いのではと。

ただ、この善意の塊のような清木澄を染め上げようとするのなら。
相当のコストを掛けたという意味になります。
その結果は、製品版に託すことになりますが、体験版中でも感じられるところがありました。

例えば。
読み進めていくと、どのキャラクタも暗い過去を有していることが分かります。
ab5
清木澄(結城ほのかさん)の両親は、ただ亡くなったわけでなく、強殺されています。
小野上結乃華(ひもりちささん)は、再婚した義父から虐待され続けています。そして今の家庭に問題があることが学園にも伝わっています。
佐桜美海(高梨はなみさん)はアドミラリ王家の血を継いでいますが、不在の間に国を失ったことになります。

これは「アークセイバー」でも見られた、暗い設定。
神装剣姫アークセイバー ~魔族懐胞~

既に酷い過去を有しているキャラクタが、本作で酷い終わりを迎える。
そんな作品なのかもしれません。

そのために、脱衣立ち絵を用意するなど、敗北を演出するために素材が用意されているようです。
Triangleさんのデフォルトではあるのですが、彩色の色合いも暗く、この作品の展開には向いていますよね。
変身シーンが脱衣でないところに好感を抱きますが、これもそうした演出でしょう。

演出とキャラクタ設定をよく見ていきますと。
やはり、アークブレイバーとなった、清木澄です。

ab6

明るく、行動に勢いがありそうな雰囲気。
何か聞きたいことがありそうなら、自分から声を掛けに行く。
過去は受け止め、今を明るく生きています。

窮地では、咄嗟の判断力と、その後の結果を想定する冷静さが同居しています。
しかし、全力で駆け抜けた後、体力を失うことが澄の限界で、
人助けを全力でした後は、宿題をやるまで回らないといったところがあります。

面白いのは、アーク化した後は、身体的に成長するということ。
それを、結城ほのかさんは演じ分けています。

まず、変身後の違和感を、澄から見た身体感覚で表現するテキスト描写はとても良いですね。
成長したのが伝わりやすい方法です。
変身中にSEでもギシッとした音が入っているのも、そのあたりなのかもしれませんね。

ab4
敵方では、パイム(藤吉ローズさん)がどうにも魅力的です。
魔族の中にありながら、戦場ではルールを守り、純情を保つ。美味しい食べ物には素直に感嘆する。
パイムは、ラディトールに恋慕し、その野望に参加するのですが。
魔族たちは一枚岩ではありません。
もしラディトールが窮地に陥れば……。


ab3
「誰かの力になれば、誰かが力になってくれる」
父が残した言葉に従い、アークブレイバーとなった清木澄の思いは、
この作品では遂げられ無さそうです。

その重さに向き合える方は、ぜひ。

人間だけでなく、異世界から訪れた魔族たちも、同じアーク神を信じているとの設定が面白いですね。
もし、希望があるとしたら、ここでしょうか。

2023年5月26日(金)発売予定です。

ショップ特典として、DLCがあります。
メロンブックス、トレーダー、ファミーズの特典がなかなか。