CUBEさんの「恋し彩る正義爛漫」体験版プレイしました。

CUBEさんの新作は、“俺が正義の変身ヒーローに!?な恋愛ADV”、「恋し彩る正義爛漫」。

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山の中の小さな田舎町に住んでいた鋼錬寺颯斗は、母が亡くなり、
都会に住んでいた白河家の下宿に住まわせてもらうことになった。

すごい人の数。
数年ぶりの梟ヶ谷の駅前は、以前とはまるで違っているように見えた。

「助けてくれ! バスジャックだァーッ!」
見れば、バスターミナルになっている広場の片隅で、全身タイツ姿の集団が一台のバスを取り囲んでいた。
事態に気がついた人たちも、ざわめき、戸惑い、次々を逃げ出しはじめている。

「正義の使者『マロンブランシェ』、ここに見参ッ!」
10階程度はあると思われるビルの上から、事もなげに飛び降りた白いスーツの女性は、
白い残像となってバスを取り囲んでいた全身タイツ姿の集団を吹っ飛ばしていく。

鋼錬寺颯斗は、全身タイツ姿の集団が放った兵器に巻き込まれそうなところを、
白いスーツの女性に庇われた。
「ハヤトくんは! 私が護るッッ!!」という言葉と共に。

正義のヒーロー、いやヒロインは、従妹の白河美栗だった。
従姉の白河桃代が開発したスーツを身につけ、悪の組織に狙われるこの街を護っているという。

いかに天才科学者と呼ばれる白河桃代の発明品とはいえ。
心配から、声をかける鋼錬寺颯斗に、白河美栗は微笑む。
「ハヤトくんが持っていた正義の心は……勇気は……、あの時、わたしに引き継がれたの」と――。
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体験版は、871MBでした。

原画は、猫麦さん、☆画野朗さん。
原案は、姫ノ木あくさん。
シナリオは、 姫ノ木あくさん、保住圭さん、高嶋栄二さん。
音楽は、Peak A Soul+さんです。

システムはいつも通り吉里吉里Zです。
機能豊富で遊びやすく、使いやすい調整がなされています。
体験版は、セーブファイルをBOOK2のPAGE10まで使用しましたが、
マウススクロールでPAGE間をスムーズに移動できる軽さがあります。

さて。
CUBEさんの新作は、ご近所バトルヒーローラブコメ、と呼んでも良い雰囲気でした。
体験版は手頃な分量ですが、びっくりです。

惹き付けて止みません。
こんなに楽しめるとは思っていなくて、今は製品版を迎えるのが怖くなっています。


まず、グラフィック面。
キャラクタ原画は、線が優しいのに肉感的。
白河姉妹の、衣服の上からでも分かるスタイルの良さがすごいですよね。
服の下が想像をかきたてるというか。
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表情差分もかわいらしくて、つっけんどんな印象を受けてしまう黒羽雪朱が、
まれに見せる笑顔が映えます。


また、声優さんの配役がとても良い。
キャラクタと、とても合っています。隙が無いレベルで。

例えば、武部ひかりの「おかえり」だけで充分満足してしまう。
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臨時管理人さん(維持方零慈さん)もいい声です。


シナリオ進行面。
色々なところに気を遣って設定が為されている印象があります。
例えば、敵側の設定が、悪ではないこと。
それなら仕方ないと思えるバックグラウンドが描かれていること。
見せるタイミングも巧いなと思います。
進行がスムーズで、ヒロインを知ることのできるタイミングや、
ラッキースケベなイベントもあるものの、突然押し込まれた要素とは感じにくい。
くどさが無いのにきちんと印象に残る面白さ。

ヒロインキャラクタとの距離感、好感を持つ運びが良いと思います。
これは仲良くなれるな、というか。

不思議なのは、鋼錬寺颯斗。
自己主張が強いわけでも、すごくできるというわけでもない。
体験版中は、そういった場をあまり見せてはいません。
他人に対して垣根を持つといったことが出来ない性質であること、でしょうか。

そして、今の自分をどこか、悔いていること。

幼い頃、鋼錬寺颯斗は白河美栗をかばい、狂犬の爪と牙を身に受けています。
数日、生死の境を彷徨い、犬を酷く恐れるようになり、誰かを護る心を失ってしまいます。

鋼錬寺颯斗に護られた、その心を引き継いだと、姉が創ったシステムを用いて変身する白河美栗。
白河美栗の笑顔には、何の迷いもありません。
しかし、鋼錬寺颯斗は気付いてしまいます。
白河美栗を戦わせているのは、過去の鋼錬寺颯斗だったと。

そんな白河美栗を見ながらも。
将来を決めるにはまだ、自分を知らない。自分の望みを知らない。

そんな鋼錬寺颯斗が、“俺が正義の変身ヒーローに!?”。

しかし、変身ヒーローになったとしても、マロンブランシェたちとは一致団結しての共闘には至ることができない、少し遠い立ち位置となるようで……。

体験版は、とにかく面白かったと思います。


問題だと思うのは、魅力的なキャラクタが多すぎること。
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理事長の娘にして警視庁アサルトコップとしても活動している大利根不二花(桃山いおんさん)の性格の良さは魅力的ですし、
苦労人ゆえに組織アークナーで女幹部としてアルバイトをしている黒羽雪朱(百瀬百環さん)とは仲良くなりたいですし、
タンクトップゲーム実況者hunterで忍者でもある武部ひかり(月野きいろさん)は、年上らしさを見せたり幼さを見せたりと傍で見ていて楽しいですし、
白河桃代(くすはらゆいさん)が知識を深めようとした切っ掛けには、鋼錬寺颯斗がいたのは間違いないでしょうし、
その白河桃代の才能に嫉妬する青山小梅先生(夏目硝子さん)も魅力的に見えてしまいます。

どのヒロインも満足する構成にするのは難しいと思うのです。
製品版が怖いと思うのはここです。考えても仕方が無いところではありますが。


センターヒロインとして立つ、白河美栗(春野美波さん)がかなり巧くて。
白河美栗は、日頃は天然気味のゆったりした雰囲気を醸し出している女の子ですが、
マロンブランシェに変身すると、その副作用で性格が少し凜々しく変わります。
変身キャラクタというのは攻撃ボイスや見栄を切るセリフがあるわけですが、
そういったセリフの最後までも、変身前との差異を保ち続けている。

白河美栗としての、つい漏らしてしまう気持ちの声がハッキリ発声できているのは技術ですよね。
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収録エンジニアさんも素晴らしい。


2023年9月29日(金)発売予定です。

げっちゅ屋さんの特典は、録り下ろしドラマCD「不二花と最高の定番デート」。

ダウンロード販売もあります。